[東京 30日 ロイター] – 今後の年次賃金交渉で2年連続の大幅な賃上げが実現する可能性が高く、日銀が今月中にもマイナス金利の解除を検討する機運が高まっている。
最近の経済の弱含みの兆しにもかかわらず、先週日本経済の見通しについて楽観的な見解を示した上田和夫総裁を含め、日銀政策当局者らは景気刺激策を縮小する計画を進める意向を示している。
元商業銀行幹部で日銀理事の田村直樹氏は、マイナス金利の早期離脱を最も声高に主張しており、昨年8月には日銀が2024年3月までにそのような措置を講じる可能性があると示唆した。
同じく理事の高田肇氏も先週、日本はようやく日銀の2%のインフレ目標を永続的に達成できる見通しが見えてきたと述べ、日銀の景気刺激プログラムの全面的な見直しを求めた。
時事通信社が関係筋の話は出さずに水曜日に報じたところによると、日銀理事9名のうち少なくとも1名が今月の政策決定会合でマイナス金利の解除が妥当であると発言する可能性が高いという。
マイナス金利の終了は日銀による画期的な決定となり、長期にわたるデフレと経済停滞に終止符を打つことを目的とした過激な金融実験を10年以上後退させることになる。
インフレ率が1年以上にわたって目標を上回っており、持続的な賃金上昇の見通しが高まっていることから、日銀はマイナス金利が短期的に終了するという示唆を出し続けている。
2月15─20日に実施されたロイター調査によると、エコノミストの80%以上が日銀が4月にマイナス金利を解除すると予想しており、3月18─19日の会合での行動に期待する人もいる。
理事会9人のうち過半数がマイナス金利の解除に賛成票を投じれば、日本では2007年以来となる利上げへの道が開かれることになる。
しかし、マイナス金利を3月に終了する提案が十分な票を獲得できるかどうかについては不透明だ。 日銀は今月、経済の最近の弱い兆候にうなずき、消費と生産に関する評価を引き下げると予想されている。
取締役会の安達誠司氏は、マイナス金利の終了に向けた状況が整っているかどうかを判断するには、来年度が始まる2024年4月以降までかかる可能性があると述べた。
理事の中村豊明氏と野口旭氏も、時期尚早な金融支援の撤回に慎重な姿勢を表明している。
木曜日にはもう一人の理事、中川純子氏が講演し、記者会見を行う予定だ。
撤退時期を決める要素には、全国的な動向の指標となる3月13日の大企業と労働組合との年俸交渉の結果などが含まれる。
強い成果が出れば、インフレ上昇が持続的な賃金上昇を引き起こすというマイナス金利解消に向けて日銀が設定した重要な前提条件を満たす可能性が高い。
エコノミストらは今回の賃金交渉で平均約3.9%の賃上げが見込まれており、過去30年で最高だった2023年に締結された3.58%の合意を上回ると予想している。
日銀の考えに詳しい関係者によると、日銀がマイナス金利をやめた場合、日銀に預けられている金融機関の準備金に0.1%の利子を支払う可能性が高いという。
0.1%の金利は、短期借入コストの指標となる翌日物コール金利をゼロからプラス0.1%の範囲に誘導するのに役立つという。
日銀はインフレ率を目標の2%に引き上げるため、2013年に大規模な資産買い入れプログラムを導入した後、2016年にマイナス金利とイールドカーブコントロール(YCC)を導入した。
関係筋によると、日銀は昨年、YCCを骨抜きにすることで長期金利の厳格な管理を緩和し、マイナス金利を解除する際にはYCCに設定されている10年債利回りの0%目標を撤廃する可能性が高いという。