オーストラリアの金融サービスライセンスを保有するオデッセイ・エクイティ・ファイナンス Pty Ltdは、2020年、2021年、および2022年の各会計年度において、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)に財務報告書を提出しなかったとして、ダンデノング裁判所で判決を受けました。
起訴内容と違反条項
オデッセイは以下の理由で法的に問題とされました。
- 利益及び損失計算書と貸借対照表を提出しなかったことに関する、法人法第989B条の3件の違反
- 利益及び損失計算書および貸借対照表に監査報告書を添付して提出しなかったことに関する、法人法第989C条の3件の違反
判決前の事情陳述と判決内容
2024年3月7日に罪を認めたオデッセイは、2024年4月24日の判決公判で、法的代表者を通じて次のように主張しました。ASICに財務報告書を提出しなかったのは意図的なものではなく、取締役の健康問題が原因だと。しかし、裁判官メディナは取締役の医療治療が法的義務の遵守を妨げたとは考えず、彼が弁護士の選任や指示を行う能力を有していたことを指摘しました。それにもかかわらず、健康問題と有罪認定は軽減要因とされました。
最終的に、オデッセイは1914年犯罪法第19B条に基づき、12ヶ月間善行を守るという条件で、保証金$2,500を提供することで、有罪判決を免れました。この債務条件には、保証期間内に未提出の報告義務を履行することが求められています。
金融サービス業界における影響
オーストラリアの金融サービスライセンス保有者は、多額の顧客資金を管理しており、年次会計報告書および監査報告書の提出がなされないことは、ASICがライセンス保有者の真の財務状況や顧客の代理として保持している資金の価値を判断する能力を阻害します。
法的最高罰金
利益及び損失計算書と貸借対照表の提出を怠った場合の法人の最高罰金(法人法第989B(2)条)は、各違反ごとに$1,332,000です。監査報告書を利益及び損失計算書および貸借対照表と共に提出しなかった場合の法人の最高罰金(法人法第989B(3)条)も、各違反ごとに$1,332,000です。